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2006年11月 5日 (日)

安倍首相よ・憲政の常道に戻れ!

 安倍晋三内閣が9月26日に誕生して以来・早や1ヶ月以上が過ぎた。新聞各社もその総括をこぞって載せているが、遅ればせながら拙者も安倍政権の功罪を述べてみようと思う。

 結論から言えば

 評価できない!

 ”靖国問題を封印し・村山談話を継承し・戦争などの歴代内閣の歴史観を踏襲し、とりあえず外国の不満を押さえ、教育基本法・憲法改正などの内政に専念する”

 という戦略は評価できなくもない・・・

 しかし

 これは憲政の常道に明確に反するのである!

 

 憲政の常道とは

 ”公約(政策綱領・最近はマニフェストなどとも言う)を国民に提示し、国民の賛同を得・国家の指導者に選ばれたならば、公約の実現に最大限の努力をする”

 ”その政策が失敗し・または国民の理解が得られないならば、潔く下野する”

 ということである。

 間違っても”権力の持続のための政策の変更”は許されないのである!

 これが憲政の常道と日本で称され・世界の民主主義国においても「民主主義のルール」とされるものである。

 

 この”民主主義のルール”で安倍内閣の1ヶ月を検証してみると

 明らかに”憲政の常道に反している!”と断ぜざるを得ない!

 安倍氏は国内の保守層の圧倒的な支持の下に首相に推されたのである。マニフェストの一環とされる著書「美しい国へ」を読んでみても保守的な政策・歴史観を公約している。

 それを就任早々・撤回してしまったのであるから、明確な公約違反である!

 まして

 祖父である岸信介・元首相を「開戦の決断において間違っていた」と発言したのは言語道断である。

 憲政の常道から言えば

 下野する

 のが当然である。

 たしかに

 実際の政治には

 妥協は必要である。

 しかし

 政策の根幹に関わることまで変更するのは

 変節した

 と言われても仕方がない。

 百歩譲って

 大幅な妥協がやむを得ないとしても

 選挙民に・これまで氏を支持してきた者に対して

 「最大限努力したが、力不足で申し訳ない・・・」

 と謝罪すべきである。

 充分に説明すべきである。

 

 それに

 公明党(創価学会)の問題もある。

 自民党と公明党は基本的な政策において

 明らかな違いがある。

 安全保障の問題においても、靖国神社・歴史観においても水と油である。

 批判はあるが派閥が多数存在し、活発な言論が闘わされる自民党と

 池田ジョンイル将軍さまの鶴の一声で何事も決まってしまう公明党・創価学会とは根本的に違う集団である。

 これが連立政権を組むというのは権力維持目的以外のなにものでもない。

 憲政の常道に反するのである。

 憲政の常道(民主主義のルール)ということを説明するために憲政の本場であるイギリス政治史の逸話を紹介しよう。

 イギリスの憲政史上・最も偉大な首相は

 ディズレーリ(1804~1881年)

 であると言われる。

 彼はイギリスが最も繁栄したヴィクトリア時代の政治家であり、

 スエズ運河を買収し・フランスの東洋進出をくい止め・ロシアの南下を挫折させた。文人としても有名である。

 彼こそが「議会政治のルールを確立した」と言われるのは

 1840年代のイギリス議会を紛糾させた

 「穀物法」(イギリスに入ってくる穀物を制限する法律)

 の問題である。

 当時の2大政党は保守党と自由党である。

 保守党:地主が支持基盤。穀物法支持

 自由党都市の資本家が支持基盤穀物法に反対

 という構図をまず理解していただきたい。

 地主を支持基盤とする保守党が外国から入ってくる穀物を制限したいのは現代日本の農協と農政議員と同じ理屈である。

 資本家が穀物法に反対なのは、外国の安い穀物が輸入できれば労働者の生活が楽になり・支払う賃金を抑えられるからである。あまり誉められた理由ではないが。

 1841年・保守党党首のサー・ロバート・ピールは穀物法支持の地主層の支持を得て選挙に勝ち・首相となった。

 ところが

 1801年以来イギリス領となっていたアイルランドに馬鈴薯(ジャガイモ)病が発生し・大変な大飢饉がアイルランドを襲った。

 ところが

 イギリスの地主たちはアイルランドの小作農にこれっぽっちの同情も示さず・小麦も1粒残さず絞り上げたのである。

 それは

 イギリスはプロテスタントであり

 アイルランドはカソリックであり

 長年・抗争を続けてきたからだ。

 アイルランドでは数十万人の餓死者が出て、もしこのときアメリカに移住できなかったら餓死者は数百万人にも達したであろうと言われる。

 そして

 さすがのピール内閣も

 アイルランドの人口が激減し・小麦の収穫が減り・国産穀物の値段が急騰するのは無視できなくなってきた。

 そこで穀物価格の安定を図るさまざまな政策を打ち出すが、どうにも解決できない!

 万策尽きて

 とうとう

 「穀物法を廃止」し

 外国からの穀物輸入を解禁する

 ことにした!(なんだ!こりゃ?)

 

 ところが

 これに断固・抗議したのが

 件の”ディズレーリ”(同じ保守党議員)である。

 「首相閣下!穀物法を廃止するのは当然の措置でしょう。

 しかし

 あなたは『穀物法を守る』と公約して選挙に勝ち・首相に就任したのではありませんか?

 ですから

 その公約を撤回するのであれば、『穀物法反対!』を公約に掲げた自由党に政権を譲り、自らは下野するのが筋ではありませんか?」

 と堂々の論陣を張ったのである!(待ってました!大統領?)

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 これに対してピールも

 「選挙の公約に反するかも知れないが、私は女王陛下の信任を得て国家の要職に就いている。国家のためになることならば断固として行うのが陛下から与えられた責務である」

 と反論した。

 ディズレーリはさらに追求する。

 「閣下、あなたは『女王陛下・女王陛下』と繰り返しますが、もし地主層の支持がなかったらあなたは選挙に勝てたでしょうか?

 それでも陛下はあなたを信任なさったと思いますか!?」

 この激しい攻防に保守党議員たちは動揺したが、やがてディズレーリの論理が正しいことを認め、ピールの許を1人去り・2人去りして、とうとう保守党は少数派に転落し・ピール内閣は倒れてしまった!

 これがイギリスの「議会政治のルールを確立した」と言われる

 穀物法事件である。

 ここで確立された議会政治のルールとは

 ① 選挙公約は必ず守るべし!変えるのであれば総選挙で民意を問う!その度胸がなければ・潔く下野する!

 ② 他人の公約を盗むな!

 ③ 議会における論争によって全てを決する!議会の外で多数派工作をやってはいけない!”数”は弁論の力で獲得するものである!

                                 以上

 

 これを読めば

 いかに安倍政権1ヶ月の道が憲政の常道に外れているかお分かりと思う。

 たしかに

 公明党の協力が得られなければ政権の維持がおぼつかないという事情もあるかもしれない。

 しかし

 新聞社の世論調査で安倍政権の支持率をみると

 左翼的新聞の毎日・朝日新聞の調査では 70%

 保守的新聞の産経新聞の調査では 60%

 である。

 これは

 従来から安倍氏を支持してきた保守層が支持を見限り

 反安倍だった左翼層の支持が増えている

 ことを示している。

 これは明確な従来からの安倍支持者への裏切りである!

 憲政の常道に反する!

 しかし別の見方もできる。

 安倍首相が公明党(創価学会)を切り捨てるならば

 従来の保守層が帰って来るだろう!

 やむなく野党に落ちることになるかもしれないとしても

 節を曲げなかった信念の政治家としての評価が上がるのは間違いない!

 必ず次の選挙で政権にカムバックできる材料になる。

 現在の自民党の党員は122万人。

 創価学会は公称:800万世帯(実態は200万程度という説もある)。

 党員を獲得し・足腰をしっかりさせるということが現在の自民党の急務だ!

 安易に連立で政権維持を図るのは邪道である!

 

 憲法改正・教育基本法改正という

 目に見える改革よりも

 憲政の常道(民主主義のルール)を確立する

 ということの方が

 100年・200年という長い目で日本の政治を考えて行く上では

 是非ともに必要で重要なのではあるまいか。

 拙者はそう考える。

 

 では

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 なお、今回の記事は

 痛快!憲法学:小室直樹著・集英社

 を参考に制作いたしました。

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コメント

議会政治が意見の集約として成り立つのであれば、安倍首相を支持した議員の中で、いわゆるタカ派的発言をするのが麻生、中川(酒)両氏+下村氏ぐらいしかでてこないというのは寂しい限りです。一太ももっとがんばれ。

投稿: takayuu | 2006年11月 5日 (日) 23:42

おひさしぶりです。もうちょっと様子を見て、温かい目で見守ってあげましょうよ!

投稿: みぎよりますたー | 2006年11月 5日 (日) 14:53

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