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2006年12月22日 (金)

奴隷町人の日本・戦闘市民の西欧

 軍学者・兵頭二十八(ひょうどうにそはち)氏の

 《 武侠都市宣言! 戦後「腐れ史観」を束にして斬る 》(四谷ラウンド・2000年)

 を読み直してみた。

 

 ”眼からうろこ”の事実が次々と出てくるが、兵頭氏の言いたいことをいくつか抜き出してみる。

 ① 明治維新で日本が開国したのは外国に褒められるためにではない。将来鎖国するためである。鎖国とは「望むものは入れ・望まないものは入れない」自由を主権者が実力で維持することである。

 ② 西欧の白人は日本人を”黄色いサル”としか見ておらず、DNAをすっかり入れ替えなければ心から好きになってはくれない。

 ③ 西欧の都市民はギリシャ・ローマの昔から戦争を通じて民主的諸権利を勝ち取ってきた。

 日本人は足軽として戦場に借り出された農民は別にして、都市の住人は歴史上1度も戦ったことが無かった。

 ④ 現代の日本では”市民は戦わない”のが原則であるが、西欧的には

 市民とは戦闘市民

 のことである。戦う義務の無いのは奴隷であった。

 だから

 日本の町民とは西欧的には

 本来都市奴隷のことである。

 ⑤ 侠(きょう・男気:一度約束したことは必ず守ることなど)の真の実践者は日本の武士ではなく、西欧都市民であった。

 ⑥ 第一次世界大戦でドイツのツェッペリンなどの飛行船がイギリスの都市を空襲した。 

 第二次世界大戦ではイギリスがこの復讐に長距離爆撃機でドイツの諸都市を灰燼に帰すまで爆撃した。

 ヒトラーはこの報復にロケット兵器:VⅠ号やVⅡ号などの報復兵器(Vergeltungswaffe)をロンドンに発射した。

 西欧民主主義の根底を支えるのは

 フェーデ:私的決闘や復讐などによる自力(実力)救済

 であり、これが最終的に正義を担保してきた。

 ⑦ 白村江(はくそんこう・はくすきのえ)の戦い(663年:大和朝廷・百済vs.唐・新羅の戦い)で日本軍は敗れた。その理由は日本の武士が戦闘突入後は部署も命令も作戦もなく・バラバラで戦っていたが、唐軍は陸上でも海上でも陣形を保って戦闘を行っていたからである。

 秀吉の文禄・慶長の役(1592~1593年・1597~1598年):朝鮮出兵のときも日本軍は明の大軍が指揮官の采配によって手足のように動くことに驚嘆している。

 しかし近代になり、西欧式兵制を取り入れた日本は俄然・強くなり日清戦争でアジアの大国・清を破り、清国衰退への道を開いた。

 日支事変でも”まとまりの無い・寄せ集め”の蒋介石軍を訓練の行き届いた日本軍が破り・連戦連勝した。

 ⑧ 日本の町民は歴史上・戦争に加わったことがなく、徳川幕府が倒れ・戊辰戦争の会津城の攻防戦でも城下の会津町民は見物するだけであった。

 それが明治となり・近代陸軍が創設され・徴兵令が施行された。

 これは驚天動地のことであった!

 日清戦争は都市民にはほとんど損害が出なかった。

 ところが日露戦争では激戦の旅順攻略作戦に東京の第一師団が投入され・大損害を出すことになる(他に金沢の第9師団・香川:善通寺の第十一師団。これらの第3軍司令官は乃木希典大将)。

 1904年12月5日に203高地を占領し大勢を決したが、日本軍の戦死者はこの旅順攻撃だけで

 15,400人

 にも上った(怪我人を加えれば59,000人)。

 日本の都市の住民はこれに恐れ慄いてしまった。

 その結果・日本陸軍はイギリスの要請にもかかわらず・第一次世界大戦での欧州派兵を行わなかった。

 それゆえ満州事変(昭和6年:1931年9月勃発)後の昭和7年東京の歩兵第一連隊が久々に外地である北支の天津に送られた。しかしノモンハン事件(1939年)で大損害を受けると、そのまま激戦地に送られることはなかった。しかし大東亜戦争の終戦間際、グァムやレイテ・セブに送られて生存者は1/100近くに激減した。京都の歩兵第9連隊も師団長以下1人の生還者も無かった。

 かくて 

 一時はその勇猛さを世界に鳴り響かせた帝国陸軍・海軍も

 敗戦で元の町人国家(奴隷市民)に逆戻りしてしまった。

                                  以上

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 結論

 兵頭氏は以下のような趣旨のことを述べている。

 Ⅰ ナポレオンは1812年にフランスの国民兵45万人を率いてロシア遠征に赴いたが、翌年帰還したときには

 1万人しか帰って来なかった・・・

 残りの44万人はすべて戦死したのである。

 それでもフランス人はナポレオンを

 ”無能な疫病神”

 とは決して呼ばないし

 「戦争はもうこりごりだ!」

 とも言わない。

 彼をアンバリッド(廃兵院)の地下に英雄として祀っている(靖国神社のように)。

 このように

 西欧都市民の精神は非常にタフなのである。

 これは戦場で培われたものである。

 

 Ⅱ 日本の都市の住民(町人)の精神はこれと180°反対である。

 旅順攻撃で15,400人の戦死者を出した乃木大将を日本人(特に戦後の司馬遼太郎氏)は凡将・愚将と罵り・後に彼を明治大帝への殉死に追い込むが、西欧ではむしろ評価されている。

 ロシアの旅順要塞は当時コンクリートで固めた世界最強の要塞であり、新鋭のマキシム機関銃が最初に本格的に使用された戦場でもある。

 これを乃木大将以上に効率的に行えたのは世界中どこにもいなかったであろう。

 むしろ

 わずか15,400人の犠牲で済んだ

 というべきなのである。

 

 Ⅲ 日本の常識は世界の非常識と言うが、

 これは戦死者1,000万人・戦死傷者4,500万人もの犠牲を出した第一次世界大戦を経験しなかった日本ゆえの特殊な感情の産物なのである。

 

 Ⅳ 市民(町人・奴隷)ではなく

 都市民(戦闘民・自由民)を創れ!

 以上が兵頭氏の主張である。

 

 拙者も兵頭氏に賛成である。

 拙者は高校時代から西洋史が好きで、重装歩兵市民制や「プラトンの国家」なども読み、西欧の民主主義が”戦う民主主義”であることを知っていた。

 これが怠惰に流れたとき衆愚政治が始まり・民主主義が没落するのである。

 兵頭氏のこの本にも

 日支事変で南京に迫った日本軍が城壁に

 「誓復仇敵」(復讐を誓い・敵を討つ!)

 の文字があるのを発見したとある。

 西欧民主主義の根底にはフェーデがある。

 これは

 11月27日 いじめた奴を殺してから自殺しろ!

 11月29日 一人一殺は美学だ!

 を投稿した拙者を安心させてくれた。

 「少し書きすぎたかな?」

 という思いもあったが、やはりあれで正しかったと思う。

 

 20日の新聞には

 「氷点週刊」(中国共産党青年団の付属紙)は今年1月停刊処分を受けたが3月には復刊したことが載っている。これは「中国共産党権力の弱体化が進んでいる」ことであり喜ばしいが、

 元編集主幹の李大同氏が

 「報道の自由は当局が与えてくれるものではなく、自ら勝ち取るものだ」

 と誇らしげに語っているのは

 中国でさえ”戦う民主主義”が芽生えつつあることを示している。

 

 これに引き換え日本では

 20日・浪速の闘拳:亀田興毅がランダエタとの防衛戦に勝ち・翌日TVのインタヴューを受けていた。そこで興毅が

 「相手が憎いから戦えるんや!」

 と言っているのにキャスター達が

 「スポーツマンシップはそういうものではないでしょう?相手への尊敬の念はないですか?」

 と盛んになだめていたのが気になった。

 やはり

 町人国家(奴隷根性)が都市民国家(自由市民の誇り高き精神)に変貌するまでにはまだまだ時間がかかると思った。

 日本人よ・民主主義でさえ中国に追い抜かれたら、何を日本は誇れるのか?!

 

 では

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コメント

「三千年の海戦史」松村劭 著 中央公論新社
2006年6月10日初版¥2,400ファントムと呼ばれた男。ネットでも知られてる「デピュイ戦略研究所」元陸将補だった松村氏のこの本は凄い。確かに戦争が全て、明けても暮れても陰謀と戦争。講和条約など破るためにある。実に不思議に敵味方が入れ替わる。騙し撃ち、略奪、襲撃は日常茶飯事で負けてもただ起きない。しっかり相手の研究をして武器の改造に勤めてる。(「軍事と外交は車の両輪」そしてそれぞれは独立してる。外交は「条約」「協定」という「法」で解決しようとする。軍事は「勝利」という「力」で解決する。法の運用と力の運用は相互に独立なのだ。)此処から文官統治の軍を下に置く政治体制は間違ってるようですよ。
軍事経験の無い文官が軍に口を出すと敗戦する。西欧の古代から現代までの戦史が証明している。熟読を進めますよ。

投稿: ようちゃん | 2006年12月22日 (金) 23:58

トラックバック失礼致します。

投稿: toshiki | 2006年12月22日 (金) 14:25

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受信: 2006年12月23日 (土) 03:37

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